ソンディの運命分析学 その2

【1】ソンディの運命分析学-2


(8)衝動体系と衝動心理学的意義
ソンディは、人間の基本的欲求を4つの衝動、
性衝動、発作衝動、自我衝動、接触衝動としました。
そしてこれに対応する構成因子をhからdまでの8つとしました。《1》… 性衝動(S)
性的疾病の遺伝圏、植物も含め、あらゆる生き物にみられる同性愛的、母性的欲求。
(エロス)hと加虐的欲求、父性的欲求(タナトス)を含む。
《2》… 接触衝動(C)
循環性疾病の遺伝圏、依存し、ものを追及する衝動で、あらゆる生き物にみられる。
うつ状態、探求と執着の欲求のdと、そう状態・依存と離別の欲求のm。

《3》…発作衝動(p)
発作的疾病の遺伝圏、動物になって、初めてみられるもの。
てんかん、倫理的欲求のe,とヒステリー、道徳的欲求のhy。

《4》…自我衝動(Sch)
分裂型疾病の遺伝圏、緊張病、所有への欲求


性衝動sと接触衝動cの二つは、「辺縁衝動(ラント)」といい、この衝動により、人間や動物、およそ雌雄の区別のある生物は、外界に対する行動様式がきまります。

この二つの辺縁衝動だけでは、例えば、h+!s-、d0m+!の人は、衝動のおもむくままにしておくと、アルコール中毒になってしなうでしょう。

しかし、この辺縁衝動をコントロールしているのが、「核心衝動(ミッテ)」です。核心衝動(ラント)には、感動発作衝動pと自我衝動Schがあります。

核心は、つねに辺縁衝動の異常に目を光らせ、危険性をチェックしています。


(8-1)性衝動とそのタイプ
●Sベクター(性衝動)の説明
 生物の種を持続発展させていくための性衝動を表します。 I - h因子
 母性的欲求(エロス)、動物界における生殖本能
 イ、h+ 情愛的かかわりを個人に向けるタイプ
ロ、h- 情愛的かかわりを社会に向けるタイプ(人類愛)

 

 II - s因子
 父性的欲求(タナトス死への欲求)、強奪、掠奪性、攻撃性欲求
 ハ、s+ 能動的、攻撃的、積極的情愛欲求
ニ、s- 受動的、消極的、受身的情愛欲求


●各タイプの説明

I - h因子
…母性的欲求(エロス)、動物界における生殖本能
◎h+人間情愛的かかわりを個人に向けるタイプ※性格特性
h+人間は、満たされないエロス(情愛)に生涯振りまわされるタイプです。もともとエロスとは、母性的でやさしく女らしい、慈しみの心とされます。h+人間は暖かく軟らかい性質で、豊かな愛を惜しみなく与えたいという反面、贈り物を受けたいという願望もあります。

※向いている職業
美容師、理容師、エステシャン、化粧品など、自分も他人をも美しくする職業に向いています。高級ブランド品、香水、化粧品、貴金属を扱う、デパート、ホテル、レストランや高級下着や衣類の製造販売人の、いわゆるセレブ御用達の世界のサービス業が向いています。

※結婚によい相性
h+人間が無意識的に選ぶ結婚対象は、遺伝子の近親性が引き合うので、同じ遺伝圏のh-、s+、s-人間です。もし、祖先の結婚運命を繰り返したくないと思えば、別な遺伝圏の人と結婚することをすすめます。

※情愛の対象を失った場合
h+人間は、母親とか妻を失うと、極度に孤独になります。苦しみと不安の中で、情愛欲求をみたすため、新しい対象をもとめます。健康な人は、新しい対象をもとめることができるのですが、病人は生涯、情愛対象を発見できない人になるのです。
この人々は、情愛対象喪失後に、攻撃的になります。そしてその攻撃性が、自分に向けられた場合は、癲癇、偏執病的うつ病、妄想型分裂病、ヒステリー癲癇、嗜癖、同性愛などの病気となり他人に向けられた場合は、殺人、窃盗犯罪、などを犯すのです。特に少年や青年によくみられる、万引き行為は、失った愛情の補償を求める気持ちからくるのです。
◎h-人間情愛的かかわりを社会に向けるタイプ
(人類愛)
※性格特性
h-人間は、特定の相手だけでなく、民族全体や人類全体、誰でも愛する博愛主義者で観念的です。典型的な例は、ナイチンゲール、動物愛護団体グリーンピース、日本の国難に受難迫害もおそれず説法した日蓮上人など。※向いている職業
博愛主義者であるh-人間は、カウンセラー、社会福祉関係、産婦人科医、性病科医、保育園の保母や経営者に向いています。文化的ヒューマニストの典型的な職業は、大衆文芸家作家、SF作家。週刊誌や婦人雑誌の記者、ルポライター、シナリオ作家などマスコミ関係。※結婚によい相性
h-の結婚対象は難しいです。というのは、人類全体に結びついていたいからです。強いて言えば、現実的価値観と精神的理想を求める人、自我がk+、p+の人です。
※欲求を結婚や職業で社会化できない時
衝動が強まると、パラノイアや自我肥大的神経症や、鬱病になったり、病気にならない時は、同性愛、変装狂、詐欺、密輸業者などの犯罪運命の可能性。博愛主義者が高じて売春婦になることもある。
◎h+-共通※h+、h-人間が、衝動を昇華できると
特に選ばれた人々だけが牧師、尼僧などの聖職者か、あるいは作家や、文化的ヒューマニストとして、孤独や情愛の喪失の対象を文学作品として昇華することができます。※h+、h-人間が選ぶ死の形式は?
この種族が死を選ぶとすれば、その形式は文楽の曽根崎心中のような個人的な情愛の充足完成を志向する耽美的な同意心中を選びます。女性を巻き込み、度重なる自殺未遂の果てに亡くなった太宰治もこのタイプです。あるいは、無理心中を選びます。
この昇華形式と死の選択形式は、h+、h-の両タイプに共通しています。

II - s因子
…父性的欲求(タナトス=死への欲求)、強奪、掠奪性、攻撃性欲求
◎s+人間能動的、攻撃的、積極的情愛欲求※性格特性
「子羊のような柔和さを装った絞刑吏」。
いわゆるサディストで、刃物やナイフ、ピストルや猟銃が好きな人々。有名な例では、織田信長、ヒットラー、スターリンのような職業革命者で革命期、動乱期に活躍します。また左翼や右翼の職業的扇動者も同じ範疇。父性的で、タナトスは死をあらわし、あらゆるものを破壊する根源的な力。このs攻撃遺伝子がこの世になければ、地球上に分解、解体、破壊、苦悩、死、殺人、自殺は発生しないでしょう。

※向いている職業
刃物や肉屋、魚屋、外科医、整形外科医と看護婦と病理解剖者、彫刻家、歯科技工士。靴や革製品の製造販売もその攻撃性を社会化する職業。動物関係では、獣医、鳥獣の剥製、調教師、畜殺業者があります。一般の本はあまり読まず、スポーツ新聞に熱中する、相撲やプロレス愛好家にもサデイズムが隠されています。土木業者や建設業、イラクでゲリラに殺された斉藤さんのような職業軍人や警官、スポーツ選手、ボクサーは、s+を最もいかせる職業といえるでしょう。

※結婚によい相性
ずばり、マゾヒストs-人間であることが多い。
しかし、これはあまりに近づきすぎるので、無意識のうちに選びあい、やがて不幸になることが多い。(偉大な彫刻家ロダンとその女弟子、彫刻家カミーユ=クローデルの恋愛、彼女は最後にロダンに捨てられ精神病院で死ぬ)祖先の結婚運命を繰り返さないためには、良心の強いp+、k-の人がいい。

※選ぶ死
切腹やピストル自殺(ヒットラー)です。三島由紀夫が、私設の軍隊をつくり、演説をした後、割腹自殺をしたのは有名です。
◎s-人間 …受動的、消極的、受身的情愛欲求
※性格特性
「自己犠牲が好きな献身的マゾヒスト」タイプ。
s-人間は、攻撃欲求を常に自分に向けている自己犠牲人間です。
このタイプの人々は、女性だけでなく男性においても「男になりたい」という根源的な欲求が満たされず、無意識の底に横たわっているのがいろいろな問題を引き起こします。多くは、極端に善良で正義感が強く、慈悲深く温和で非常にはにかみやです。他人との関係では、いつも受身的で、献身的に相手につくします。男でも女でも、相手に征服されたい、暴行されたいという衝動があるのですが、それが実現しない場合、攻撃的になって相手のサデイズムを誘い出そうとします。
(サドマゾヒズム)
※向いている職業
教師や幼稚園の保母、小児科、児童心理学者、児童の治療教育関係。子供相手の職業には、献身や自己犠牲が必要である。看護婦やマッサージ師のような、他人をやさしく保護し、健康にさせる職業、上からの命令を忠実に実行させられる軍人、警官、機動隊員、死刑執行人、ゴミ廃棄物を処理するなど、誰もやりたくない仕事※結婚によい相性
s+人間を選びたがるのが、結婚趨勢です。(ナチス帝國滅亡後、ヒットラーと正式に結婚したエヴァ=ブラウンのケース)しかし、運命を変えるには、善の力e+でコントロールされた権力人自我k+、p+の人にリードされるほうがよいでしょう。
※被虐欲求が極端に高まるとどうなるか
献身や自己犠牲を要求する対象を失った時が危険である。この時、s-!人間は、m+!人間に変身し、極端な飲食、大食、おしゃべり、喫煙などの口唇的マゾヒズムの形で失った対象を埋め合わせようとし、極端な場合は麻薬中毒になる。また病的になると、ノイローゼ、軽躁病、不感症、インポテンツ、肛門愛の傾向で、犠牲的な死や自分を罰する自殺形式を選ぶ。道具は、ナイフかカミソリなどの刃物である。

(8-2)接触衝動(c)とそのタイプ
●Cベクター(接触衝動)の説明
外界との関わりや人間関係の傾向を決める衝動を示します。
人は、前回説明した、Sベクターで、人と結びつこうとするh因子と人を攻撃しようとするS因子によって、性衝動がおきます。
人間関係が成立するには、この性衝動に加え、その人にとって価値のある対象(母親をふくむ対人関係、栄養物)をまず獲得しようとし、いったん獲得した後、その対象に固着するか、古い対象物から、離れていこうとするか、外界の価値対象と関係する態度をきめるのが、接触衝動です。
 I―d 因子(アナル因子)
 食物、栄養物を捜し求めて、生命を維持し、
子孫を増やすために愛の対象を探求しようとする、獲得遺伝子。
 イ、d+
永遠に新しい対象を求め得られぬタイプ、又は鬱の人々
ロ、d-
失われた対象に執着し変身できないタイプ、及び肛門愛者

 

 II―m 因子(オーラル因子)
 母親などの対象にしがみつこうとする依存遺伝子。
 イ、m+
 永遠の依存者、甘え人間、承認神経症および飲酒者の人々
ロ、m-
永遠の孤独者、軽躁病者および意思不定の人々


●各タイプの説明

d 因子(アナル因子)
…食物、栄養物を捜し求めて、生命を維持し、子孫を増やすために愛の対象を探求しようとする、獲得遺伝子。
◎d+人間 …永遠に新しい対象を求め得られぬタイプ、又は鬱の人々※性格特性
d+人間は、永遠に新しい価値対象を追求するタイプです。この獲得欲求は、新しい食物や栄養物を探し求めることから、スタートしています。これを腸で吸収し、内臓に蓄積貯蔵するのはd-の役割です。子孫を増やすために、愛の対象を探求するのは、d+です。d+人間が、対象を獲得するためには、一箇所にとどまらず、移動しなければならず、好奇心が旺盛で、変化を好みます。※向いている職業
競馬、競輪、F1レースなど競争が大好き人間。この競争欲求を社会化するには、競馬や競輪の選手美術の競売人、論争を好む評論家などの競争的な職業。また、古物商、書画骨董屋、質屋のような収集的職業。サラ金や銀行、信用金庫などの金融業、税務署や保険の勧誘、取立てといった経済的職業。※結婚によい相性
d+人間にとっては、いくら浮気されても、じっと我慢のm+人間が都合が良いと思っているかもしれません。しかし、それでは、相手のm+人間が不幸になります。そこで、限度を超えた獲得欲求d+と所有理想k+を抑制し、結婚生活を通して衝動教育をする可能性のある人、道徳的な抑制力hy-で強化された、制止自我k-p+の人なら、お互い、幸せになれます。

※運命危険性
d+!人間の危険な運命は、止むことのない競争です。生涯にわたって、隣の成功者をマークし、自分の中に潜む理想対象と競争し続けます。そしてファン=ゴッホのように、この戦いで、自分の精神的、物質的、肉体的財産を使い果たします。
d+人間は、無意識のなかで、「俺はダメだ、まだ努力が足りない」と自らを責め苛みながら決して競争を止めず、その結果ウツ病になってしまいます。
さらにd+傾向が強くなると、ギャンブルに身を持ち崩したり、性的な劣等感を伴う偏執病的誇大妄想、窃盗犯となります。この危険性を最も社会的に昇華する領域は、国家経済、国家財政、金融などの経済ヒューマニストです。
※死亡形態
入水自殺、やガス自殺の死亡形態を選びます。「20歳のエチュード」を残した原口統三は、逗子海岸で入水しました。
◎d-人間  …失われた対象に執着し変身できないタイプ、及び肛門愛者
※性格特性
このタイプの特徴は「執着性格」です。d+は、食物や愛の対象を確保するが、d-はそれを身体の内部や隠し場所に蓄積する欲求です。この欲求を肛門(アナル)欲求といいます。
身体に取り込んだ栄養物を腸で吸収するため、肛門を閉じて、決して出さず、それに快楽を感じます。d-人間は決して変化することができません。
※向いている職業
d+の人々とほぼ変わりません。しかし禁欲的で不快なことや汚れにも耐えられる肛門性格であることから、とくにペンキ塗装、廃棄物処理、汚水処理などの衛生関係、洗濯業、各種清掃業にも向いています。
清浄化機能を社会化した職業には、浄水装置、浄水器、リサイクル関係回収業、漢字制定や国語浄化の研究機関、画家や画商、インテリア関係の仕事などいろいろあります。dアナル遺伝子のd-機能は、自分は汚れても、e+浄化機能の安全弁として、一切のものを清潔、清浄にしようとします。
※結婚によい相性
古い対象、例えば両親や亡くなった夫や妻に対する強い結びつきが邪魔をするのでかなり難しいが、道徳的なブレーキhy-の利いた現実的な自我k+p+の人が望ましいと思われます。
※運命危険性
d-!人間は、病的に高まった肛門愛が考えらます。とくにs-!とd-!との組み合わせの場合は、アナルマゾヒズム、性欲倒錯、同性愛の運命可能性があります。

※死亡形態
慢性的な胃腸病の果ての、自家中毒死、厭世的なガス自殺か、または自己浄化的自殺。


m 因子(オーラル因子)
…母親などの対象にしがみつこうとする依存遺伝子。
◎m+人間永遠の依存者、甘え人間、承認神経症および飲酒者の人々※性格特性
m+のオーラル依存欲求は、まだ目もみえないのに、生まれたばかりの動物が口と手で母親の乳房にしっかりとしがみつく根元的な欲求です。これは、哺乳類動物のすべてが遠い先祖から受け継いできたm依存遺伝子の機能であり、生命を維持する最初のそして最後まで続く大切な欲求です。いつまでも母の胸の中に安住し生きていることを認めてもらいたい、その持続によって快楽をむさぼりたいというm+愛着欲求、m+承認欲求です。口唇愛の快楽主義者で、愛するものを口、唇、舌でつかみたいと思い、おしゃべり、食事、飲酒、喫煙、キスが好きです。
※向いている職業
日本料理、中華料理などあらゆる料理店の経営者、コック、調理師などの飲食業。酒や調味料の製造販売、接客販売、広告代理業や、フルートやクラリネット、トランペットなどの吹奏楽器の演奏家、歌手や声楽家、落語漫談家、アナウンサーが向いています。また外国語も得意なので、語学教師やその経営者、政治家のように演説する人は、m+の衝動性を上手に社会化しているといえるでしょう。

※結婚によい相性
結婚で運命を変えようと思ったら、倫理的で抑制力をもったe+タイプの人で、自我にk+p+が比較的多い、しんの強い人がお勧めです。※運命危険性
結婚でも職業でも自分の衝動を昇華することができなかった、m+!m+!!は、常習性飲酒者、麻薬中毒者、麻薬犯罪者、若い女性の性的無節操、口唇的レズビアンといった嗜癖者になりやすいのです。ジャズやロックのミュージシャンたちでよく逮捕者がでるように、麻薬に走るのはm+の種族だからです。
m+の承認欲求の種族の人の特徴は、第一に、「所有対象を失うのではないか」と、きわめて容易に不安状態になりやすいのです。第二には、誰かによって「受容されたい」という願望を充足させることができないので、関与障害の傾向があることです。そしてその傾向が極端に強くなると、躁病的、自我拡大的型精神病質や、まれに自殺の危険性を伴う癇癪型の精神病質、混合精神病、嗜癖を伴う犯罪者になります。

※死亡形態
服毒自殺、薬物中毒死。
◎m-人間 …永遠の孤独者、軽躁病者および意思不定の人々
※性格特性
m-の人間の代表には、山田山頭火がいます。自由と孤独を求める人であり、あきらめのよい人です。その性格の奥底には、執着欲求を満たせないと言う悲しみがあります。彼らは、本当は、孤独の陰鬱さや、世界から分離される苦悩に耐えられないのですが、そのために、自らを進んで孤独に駆り立て、支持対象から離反しようとするのです。
m-種族の多くは、仙人、聖者にあこがれ、無口、沈黙、断食、登山、滝行を好みます。天海上人などの高僧も、幼くして僧籍に入るというのは、家庭的に決して恵まれていないことが多いです。しかしその苦痛を個人の苦しみではなく、人間一般の苦しみととらえ、社会的に昇華できたとき、高僧となるのかもしれません。
※結婚によい相性
m-の人の恋愛は、難しいです。
理想を言えば、多少権力的ですが、ぐんぐんひっぱってくれる、k±p+人がよいでしょう。
※運命危険性
m-の衝動は、m+と同じような職業につくことによって社会化し、無害なものにすることができます。そして仕事を通じて、m+の人と結ばれれば隠遁者の運命を変化させることができる可能性があります。
しかし、病的、不適応の例としては、「学校嫌い」の子供、不登校から登校拒否へ進む子供、不安神経症、吃音者、教育困難、注意散漫で性急な、落ち着きのない若者、心気症患者、軽躁病ないしは躁病的な大人、変装狂、放浪者、窃盗犯、犯罪者、詐欺者、激情殺人者、嗜癖者、躁病的な破瓜病、癇癪および同性愛者などがあげられます。
※死亡形式
非現実的な、山のあなたの空遠い世界にさまよう意思不定的な放浪自殺、中毒死。

(8-3)発作衝動(p)とそのタイプ
●pベクター(感動発作衝動)の説明

 I―e因子(倫理的欲求)
 善悪をめぐる倫理に対する志向性を示す。
系統発生的には、自己保全のための反射的運動反応のうち、
「擬死反射反応」や「保護色的反射反応」にさかのぼるとされる。
e因子は、死んだふりをして敵が去るのをまつイメージであり、
衝撃的な事態に直面して身体が硬直するときの感覚にも通じる。
これが人間独自の出現形態をとると、危険な感情的体験に対して、 ・人智を超えた存在に対する忠誠心によって
守ってもらおうとする(アベル的)
・自らの感情を爆発させて
頭を真っ白にしてしまう(カイン的)

この二つの方向性をとりうるとされる。
 イ、e+
善への欲求(几帳面な宗教人アベル)
道徳的種族 清浄化の人々
ロ、e-
悪への欲求(怒りの競争者カイン)
潜在的癇癪性格 アナルリーベの人々

 

 II―hy因子(道徳的欲求)
 e因子の志向に基づいた感情を出すか出さないかという
道徳にかかわるもの。
系統発生的には、e因子と同じく自己保全のための
反射的運動反応のうち、「運動爆発反射反応」
「四肢けいれん反射反応」にさかのぼるとされる。
hy因子は、自分をおおきくみせたり、
暴れ回って敵が去るのを待つ自己防衛遺伝子である。
 イ、hy+ 自己顕示的傾向、見せびらかし欲求
ロ、hy- 自己隠蔽的傾向、差恥傾向


●各タイプの説明

I―e因子(倫理的欲求)
…e+は聖職者になり、e-は殺人者への傾向を持ちます。
e+人間とe-人間は同じ遺伝子であり、e倫理遺伝子の働きが、社会的にプラス方向マイナス方向にでるかなのです。
ドストエフスキーの家系は、聖職者と犯罪者がでていますが、ルーツは同じ運命遺伝子圏なのです。
◎e+人間※性格特性
善、良心への欲求、慈悲、親切。
アダムとイブの間に生まれた長男カインは、弟アベルの供物がヤハウェの神に喜ばれ、自分の供物が受け入れられなかったのを恨み、弟を惨殺したといわれ、人類最初の悪の発生といわれます。
e+は、弟アベルで代表され、善良で温厚な性格といわれます。e+人間は、背景に怒りのうっ積があり、それに対して良心が痛むのです。人前に出るとどもったり、赤くなるという、赤面恐怖は、カメレオンが周囲の色と同じ色になって外敵から身を守る保護色反射の名残です。e倫理エネルギーが皮膚の裏側に鬱積すると赤面反応になり、舌にくると吃音、高所恐怖になります。
※向いている職業
絶え間ない無意識の感動的緊張によって癲癇欲求を日常的に解放して無害なものにしてくれるもの。
交通に関する職業、(自動車や電車の運転士、ジェットパイロット)火に関する職業(消防士、製鉄、鍛冶屋、溶接、鋳物、花火師、ダイナマイト発破関係、ボイラー、燃料商、電力、発電、石油関係、強電、弱電の電気装置製造業、ロケットエンジン研究者)僧侶、牧師、尼僧、神主、結婚式場の巫女などの宗教家は魂の火を灯す職業であり、e+の危険な癲癇欲求を社会化する道です。
※結婚によい相性
Sch k+p+。

※病的運命可能性(職業や日常生活でe+ 欲求が解放できないと)
浄化的な道徳家、不安神経症、登校拒否、窃盗と放浪、吃音、殺人狂※死亡形態
焼身自殺や高所からの飛び込み自殺
◎ e- 人間
※性格特性
悪、怒りへの欲求、猜疑、激怒。
兄カインで代表される、嫉妬と猜疑心が強く、
他人の不幸を喜ぶ競争者のタイプ。
※向いている職業
e+と同じく、交通に関する職業、火に関する職業
e遺伝子は、カインとアベルの逸話でも分かるように、
競争と比較の中で常にはらはらして興奮する性質なので、
交通、火に関する職業で、e-の危険性を無害にすることができる。
※結婚によい相性
Sch k-p-※病的運命(職業や日常生活で e- 欲求が解放できないと)
e-は、激怒、憤怒、猜疑、悪意が肉体にうっ積し、激しい感情となってはきだされる。e-!!になると、相手を殺したくなる。Schの自我コントロールがきくと他人を殺す代わりに、自分の脳や心臓、手足の血管に襲い掛かり、けいれんを起こさせる。もしコントロールがきいていないと、衝動殺人のように、他者への攻撃、自殺になりうる。ここまでいかないe-!!人間は、徘徊狂、放火狂、窃盗狂の可能性がある。

※死亡形態
焼身自殺、ピストル、火薬爆発による自殺


hy因子(道徳的欲求)
◎hy+人間※性格特性
実力がないのに自分を大きくみせびらかす自己顕示タイプ。※向いている職業
水に関する職業、水のように流動する職業
政治家、ファッションモデル、舞台俳優、タレント、舞妓、芸者、ダンサー、ホステスのような水商売、露天商、証券取引業、外国為替。
※奉仕的に他人を変身させるような職業
理髪、美容、ネーリスト、洋服や着物や帯、装身具の製造仕立て、ファション関係、着物の着付け業、着物学院の経営、各種の下僕的な接客サービス業。

※病的な場合
誇大妄想、分裂病的な権力欲の発散、癲癇、しへき、受動的同性愛者に傾く
※衝動が日常的な職業や生活舞台で解消できないと
自己を極端に露出し、周囲を驚かそうとする傾向。もう少し進むと、変装狂、女性や子供の前で性器を出して喜んだり、さらに極端な場合で、s-マゾヒズムもあると、性転換手術しようとします。

※死亡形態
狂言自殺、何度も自殺のマネをして人を驚かせ、最後は間違って自殺に成功するという不思議な方法を選ぶ。
◎ hy-因子※性格特性
自己隠蔽的傾向、羞恥傾向。臆病で恥ずかしがり屋、空想界に閉じこもる虚言者タイプ。人々が集まるところで、人の後ろのほうへいち早く隠れたいと思う後列意識(後列無意識)が強い。これは、hy道徳遺伝子が-方向へ傾いた欲求で、自分の性的な衝動や情愛欲求を相手や外界から隠そうとする欲求です。※衝動を解消できる職業
hy+と同じく、水のような職業、俳優、演技者、水商売、政治家。hy遺伝子は、外から迫ってくる危険を化粧や衣服、演技のような水で荒い流せるようなもので飾り立てて、内容の貧弱さを隠し、偉大に見え、美しく見えるものにし、自分の価値を相対的に浮上させて防衛しようとする。ナチスのヒットラーが良い例だが、これが演技の成功と権力獲得の秘密です。
※衝動が昇華されないと
放浪欲求(徘かい狂)、窃盗狂、癲癇型の発作をおこしたり、受身的な同性愛、各種の嘘つき人間、詐欺者、ヒステリー、ヒステロエピレプシーの形で解決しようとします。

※死亡形式
水に大いに関係のある水死、溺死、服毒自殺やガス自殺

(8-4)自我衝動(Sch)とそのタイプ
ただいま執筆中につき、お待ち下さい。