ソンディの運命分析学 その1

【1】ソンディの運命分析学-1


(1)序文
東洋運命学の、四柱推命は、陰陽五行学に基づき、もともと古代中国で、自分の子供が科挙(エリート官僚の選抜試験)に受かる可能性がどのくらいあるか、財、出世はどうかといった、社会から見た能力を見るため発達しました。

東洋文化では、人間には生まれもった先天的な資質の差、宿命があると考えられており、生年月日をもとにした東洋運命学(四柱推命、算命学、宿曜経)で、先天的な資質をよみとったり、強制運命の解読に優れています。

東洋心理学でも、強制運命に対しては、自分が持って生まれた先天的素質を理解し、受容すること、自由運命に対しては、自分の可能性をかけて選択していくことで、よりよき人生が送ることができると思っています。

フロイドをはじめとした精神分析学派が、遺伝子(先天的な素質)は重視せず、親子関係や生まれてからの環境を重視しますが、ソンディは、先天的な素質と家族全体の遺伝的傾向を重視する点が、画期的です。

ソンディのこの考え方は、個人主義的で、個の確立をめざす西洋文化というより、個人よりも家、家族をひとつの単位と考える、東洋文化になじみやすいものであり、私がめざす、東洋心理学のバックボーンのひとつなのです。


(2)運命とは何でしょうか?

現在人気のある、カウンセリングやさまざまな精神療法、心理療法などの、治療学や教育学は、環境論に基づいています。

フロイドをはじめとした精神分析学派は、遺伝子要素(先天的な素質)はあまり重視せず、親子関係や生まれてからの環境を重視し、人は環境にはたらきかけることによって、変わりうるという環境論に基づいています。

しかし、実際に治療や教育に携わっていくと、環境論だけでなく、人としてどうしようもない運命の力というものも、感じざるを得ないのです。

 

(3)人は宿命から逃れられないのか?

しかし、運命学だけでも、人間は決定されるものではありません。

というのは、人間は、本来もって生まれた先天的なものと環境のもとで培った、後天的なものとの組み合わせだからです。

ソンディの「運命分析学」は、遺伝と環境を統合させた新しい学説といえます。

ソンディの運命分析理論の画期的なところは、運命を「人間の隠された生活プラン」と考えており、宿命としてあきらめてしまわず、人間は選択する意思をもつというところに存在意義をみとめている点です。

つまり、ソンディの運命分析治療とは、運命を、宿命としてただ受け入れるだけでなく、運命というものを知りながら、より正しい運命可能性(Schicksals-moglichkeit)を示唆し、その運命可能性に対して、援助活動をすることであり、それが心理治療だといっています。

(4)強制運命、自由運命
ソンディは、運命には、 強制運命(ツバングスシクザール、Zwang-Schicksal)
…自分の力では、どうすることもできない宿命で、
受容することによって、開かれる運命
自由運命(フライハイトシクザール、Freits-Schicksal)
…選択することによって開かれる運命

の、2つがあるとしました。

(5)三つの無意識構造
【1】個人的コンプレックス
(フロイド、症状である身体症状という身体言語であらわる)
【2】集合無意識(ユング、シンボルという象徴言語で語りかける)【3】家族的無意識(ソンディ、選択言語で語りかける)
(6)自由運命
ソンディは、家族無意識は、
5つの選択言語で表されるといっています。
【1】愛(何故多くの人から彼女を選んだのか?)
【2】 友人
【3】職業(何故この職業を選んだのか?)
参考文献1参考文献2(別窓)
【4】 疾病(何故この病気になったのか?)
【5】 死 (もし死を選ぶとしたらどんな死を選ぶのか?)
   →参考文献(別窓)

(7)運命を規定するもの
ソンディは、運命を規定するものとして以下の6つをあげています。

1、 生物学的レベルでの遺伝 (das Erbe)
2、 同じく生物学的レベルでの衝動性質 (die Triebnatur)
3、 社会的環境(die soziale Umwelt) 風土、人間関係など
4、 精神的環境(die mentale Umwelt)精神的文化、知的なもの
5、 自我(das Ich)
6、 魂(der Geist) 信念、信仰など

 syoudou

このページのTOPに戻る▲